「ムニョスのパンチは当たらない」 メキシコ・トレーニングの本田秀伸を直撃
KOキング、アレクサンデル・ムニョス(ベネズエラ)の保持するWBA世界S・フライ級王座に挑む本田秀伸(右写真:グリーンツダ)がメキシコシティに飛び立ち、今月26日までの予定(帰国は27日)で鍛えている。今週から参謀役の田中繊大トレーナーも合流。パーフェクトレコードを誇る王者に対し、昨年に続き2度目の世界アタックをかける本田を直撃した。
――メキシコには今回で何度目ですか?
「7度目です。今度も日本人ペンションに寝泊まりしてジムに通っています」
――1日のスケジュールを教えてください。
「朝5時に起きて6時頃からビベロス公園をロードワーク。植物園があって、マルケス兄弟も走っています。宿に帰って一服して10時半か11時頃から、ここパンチョ・ロサレス・ジムでジムワークに入ります」
――S・フライ級に上がり、ウェイトは問題ありませんか?
「もう心配ありません。(リミットまで)あと3キロ。体重が落ちているから、食事がとれるのもうれしい。ヘタなものさえ食べなければ大丈夫。さすがに屋台のものは食べませんけど(笑い)」
――今日のスパーは好調に映りましたが…。
「まぁ、大分動けるようになって来ました。もうちょっと集中力があればという場面もあったけど、連打をもらうこともなかった。もっときれいにはずして、もっときれいにパンチ当てて、ポイントをピックアップしていきたい。きょうの2ラウンド目のスパーを続けていきたいなぁという感じ」
――どの辺がよかった?
「やっぱり距離がきちんと取れて、長いパンチを当てることができた。で、詰められたら、クリンチなりできれいにはずすことができたんで…。3、4ラウンドは距離が詰まっちゃいました」
この日、本田は元フライ級ランカーのヘルソン・ゲレロ(メキシコ)を相手に4ラウンドのスパーを披露。パンチャー、ゲレロはまさに仮想ムニョスといった動きで対応した。
――ムニョスの印象を聞かせてください。
「パンチはやっぱりありますね。でも『あれが俺に当たるかなぁ』という感じはしますけどね(笑い)」
――穴を見つけたということ?
「パンチがあるということ自体がもう、何というかな、僕にはちょうどいい相手じゃないかな。チョコチョコ打って来られる方がニガ手なんで、ブルブルと振られてスイスイかわしてガンガン打てばいいような気がします。単純にそう考えています」
――ポンサックレック戦の反省点は?
「今回は作戦が違うんで…。ただ前回(ポンサックレック戦)はちょっと打ち急ぎがあって、アセリが出たとか、バランスがくずれてしまった。その出鼻にパンチを食っている。ポイント取らなきゃいけないと打ち急いでバラバラになってしまった。パンチもらって首を振ってはずすというパターンだったから。今回そういう打ちいそぎみたいなものはなくなって来ましたけど」
――勝敗のカギは?
「僕が(ムニョスの)パンチをもらわないことしかなんじゃないですか。それしかないでしょう」
――田中トレーナーからの指示は?
「指示というよりも、考え方がいっしょなんで『こんな方向で行こう』と作戦を煮詰めている段階です」(左写真:本田と田中繊大トレーナー)
――緊張感が伝わって来ますが…。
「適度な緊張感はありますけど、アガるとか固くなるということはないですね」
――ファンに試合の抱負を。
「強打が自慢のチャンピオンをいかに空振りされるかがテーマなんで、それをぜひ見に来てほしいですね。ファンが喜ぶ試合? どうなんですかね。案外いい試合ができるんじゃないですかね」
どこまでも飄々と答える本田。ジムワーク中の表情に日々厳しさを増し、出番を待つ。ムニョスは24度目の犠牲者に本田を指名しているが、挑戦者は勝負師の顔をのぞかせ、どこまでも自己ペースをキープして言い切った。「過信だかなんだか知らないけれど、結局強い者が勝つということに違いはない世界ですから」
(インタビュアー:三浦 勝夫) |