BOX ON! 海外ニュース(9月28日)

チャベス2世がデビュー
 3階級制覇を達成したメキシコの伝説のチャンピオン、フリオ・セサール・チャベスの長男、フリオ・セサールJr.(17歳)がプロデビュー。9月26日、地元シナロア州クリアカンのリングでジョナサン・エルナンデス(メキシコ)と4回戦を行ったチャベスJr.は3−0の判定勝利を収め、初陣を飾った。
 父が最初に獲得した王座と同じS・フェザー級のウェイトで登場したチャベスJr.は180センチの長身ボクサー。父親譲りの左ボディーを放って先制する。試合直前に代理出場が決まったエルナンデスも地元の新鋭で、勇敢に抵抗を試みるが、チャベスJr.は徐々にリズムを掌握。長身を利した右を顔面に浴びせ、左連打で締めくくった。試合が終了すると、エルナンデスの左目の腫れが目立っていた。
 アマチュアで12戦ほど経験したチャベスJr.はアメリカ、カリフォルニア州の高校にかよっていたが、プロになる決意を固め帰郷。父の兄で元ボクサーのロドルフォ・チャベスのコーチを受けている。
 なお、父チャベスの方は完全な引退状態だったが、息子に刺激されて?あと2戦リングに上がる決意を明かしている。まず11月15日にティファナでカムバック戦を行い、そのリングにJr.も登場する予定。そして来年1月にメキシコシティで宿敵ヘクター“マッチョ”カマチョと戦ってグローブを脱ぐと宣言している。                                                       (三浦 勝夫)

 BOX ON! 海外ニュース(9月24日)

トゥア−ラクマンで暫定王座戦
ジョーンズ不在のWBAヘビー級TUA-RAHMAN2.JPG - 19,465BYTES
 WBA世界ヘビー級に暫定王座決定戦開催へ−−。王者ロイ・ジョーンズ(米)がトップ挑戦者との防衛戦に応じる代わりにL・ヘビー級に下げてWBC&IBF王者アントニオ・ターバーとの対戦(11月18日・ラスベガス)を決めたため、2位デビッド・トゥア(ニュージーランド)と3位ラシム・ハクマン(米)の間で「暫定王座決定戦」が行われることになった。ドン・キング・プロモーターはこのカードを12月13日アトランティックシティで挙行すると22日明らかにしている。
 ジョーンズはヘビー級王座を返上するのかどうかまだ決断していないが、WBAはトゥア−ラクマン戦の勝者と120日以内に統一戦を行うことを条件に、ジョーンズのタイトルをはく奪しない方針といわれる。
 トゥア−ラクマンのライバル対決は今度が3度目となり、初戦はトゥアの10回TKO勝ち、今年3月の再戦(上写真)はドローだった。

 BOX ON! 海外ニュース(9月23日)

バード僅差判定でV1
IBFヘビー級戦 オケンド「盗まれた!」
BYRD,CHRIS, VICTORIOUS.030921.JPG - 7,235BYTES IBF世界ヘビー級チャンピオン、クリス・バード(米:右写真)は20日米コネティカット州アンキャスビルで1位フレス・オケンド(米)の挑戦を接戦の末3−0判定でかわし、初防衛に成功した。ノックダウンはなく、カウンター戦法をとる挑戦者に対し、バードはいつものディフェンシブな試合運びよりは積極的に出て攻勢をアピールした。しかしクリンチ、ホールドも多かった。判定はアッカーマン115−113、ローソン117−111、エステファン116−112といずれもバードの勝利を支持したが、会場からは判定に不満のブーイングが起こった。
 敗者オケンドは「(判定を)盗まれた!」と不服を訴えたが、勝者バードは「タフな相手だったが、私の方がより攻撃的だったし、効いたパンチも受けなかった」と”雑音”に反発していた。バードはこれで37勝20KO2敗。


ガルシアはTKOで防衛
 WBA世界S・ウェルター級戦

 バード−オケンド戦のサポーティング・カードとして行われたWBA世界S・ウェルター級(レギュラー)タイトル戦は、王者アレハンドロ”テラ”ガルシア(メキシコ)が不敗の挑戦者(2位)ロージー・ウェルズ(米)を10ラウンド終了レフェリーストップで下し、初防衛に成功した。チャンピオンがやや優勢で迎えた10回、ガルシアの右強打が決まりグラつかせた直後、さらに猛攻してウェルズをダウンさせた。アトランタのホープは辛くも立ち上がり、ここで終了ゴング。しかしカプチーノ主審がドクターのアドバイスを容れて試合を止めた。ガルシアはこれで22勝21KO負けなし。
 

 BOX ON! 海外ニュース(9月23日)

興行は大成功
デラホーヤ−モズリー第2戦

MOSLEY-DELAHOYA2.HOYA16.0309.JPG - 15,331BYTES 論議を呼ぶ判定負けでシェーン・モズリーにWBA&WBC世界S・ウェルター級のベルトを奪われたオスカー・デラホーヤだったが、興行の方は大勝利−−試合翌日の14日にPPP(ペイ・パー・ビュー)の集計が出て、全米で97万5000件の視聴申し込みがあったことがわかった。しかもまだ集計が終わっていないところもあり、試合を放映したHBOの幹部は最終的には百万の大台を越すことが確実とコメントしている。これまでのヘビー級以外の数字では、1999年のデラホーヤ−トリニダード戦の140万件には届かないまでも、これに次いで史上2番目の売り上げとなったことがはっきりしたという。デラホーヤ−モズリー第1戦が期待外れの58万5000件だったから、2倍近く増えたことになる。特に両者の出身地も含む西部地区でPPV申し込みが多かったという。これによりデラホーヤの報酬は2000万ドルを超えるものと予測されている。また勝者モズリーは450万ドルの報酬だが、デラホーヤが「勝ったら50万ドル払う」との約束していた額をボーナスとして受け取ることになっているという。いかにもギャンブルの街ラスベガスらしい数字だ。


判定問題で来月公聴会開催 

ネバダ州コミッションが決める
  一方、デラホーヤに3度目の黒星を献上した判定そのものが論議のまととなったが、事態はその後思わぬ方向に動き出している。試合直後に判定に不服のデラホーヤが「なぜあんな判定が出たのか、調査したい」と発言し、ボブ・アラム・プロモーターが「もう2度とネバダで興行はしない」などと怒りをあらわにした上で、コミッションがジャッジの1人クリストドーロ氏(南アフリカ)の起用に際して圧力をかけたなどと発言したことがかえって反発を呼んだ。デラホーヤ自身は試合3日後の16日に声明を発表し、「これまでもコミッションを批判したことはないし、今回もするつもりはない」と断った上で「試合を観た7割以上のファンが私が勝ったと思っている。彼らの欲求不満にも理解を示すべきで、試合で何が起こったのか、どのように審判が起用され、どう採点が行われたかを明らかにすべきだ」と主張している。
 判定そのものは議論の分かれるところだが、それでも「判定を盗まれた」などと騒ぐほど大げさでもないというのが、大方のメディアの反応である。なおネバダ州コミッションは10月15日に公聴会を開きこの判定問題を論議することに決めており、アラム・プロモーターにも出席の誘いを行っている。また勝利にケチをつけられたモズリーは、ライバルとの3度目の対戦を受け入れる用意があるとの発言をしている。興行の大成功からみても、再びデラホーヤ−モズリー戦が挙行される可能性は高いとみられる。

 BOX ON! 海外ニュース(9月20日)

「ムニョスのパンチは当たらない」
メキシコ・トレーニングの本田秀伸を直撃

HONDA 030920.JPG - 15,070BYTES KOキング、アレクサンデル・ムニョス(ベネズエラ)の保持するWBA世界S・フライ級王座に挑む本田秀伸(右写真:グリーンツダ)がメキシコシティに飛び立ち、今月26日までの予定(帰国は27日)で鍛えている。今週から参謀役の田中繊大トレーナーも合流。パーフェクトレコードを誇る王者に対し、昨年に続き2度目の世界アタックをかける本田を直撃した。

――メキシコには今回で何度目ですか?

「7度目です。今度も日本人ペンションに寝泊まりしてジムに通っています」

――1日のスケジュールを教えてください。

「朝5時に起きて6時頃からビベロス公園をロードワーク。植物園があって、マルケス兄弟も走っています。宿に帰って一服して10時半か11時頃から、ここパンチョ・ロサレス・ジムでジムワークに入ります」

――S・フライ級に上がり、ウェイトは問題ありませんか?

「もう心配ありません。(リミットまで)あと3キロ。体重が落ちているから、食事がとれるのもうれしい。ヘタなものさえ食べなければ大丈夫。さすがに屋台のものは食べませんけど(笑い)」

――今日のスパーは好調に映りましたが…。

「まぁ、大分動けるようになって来ました。もうちょっと集中力があればという場面もあったけど、連打をもらうこともなかった。もっときれいにはずして、もっときれいにパンチ当てて、ポイントをピックアップしていきたい。きょうの2ラウンド目のスパーを続けていきたいなぁという感じ」

――どの辺がよかった?

「やっぱり距離がきちんと取れて、長いパンチを当てることができた。で、詰められたら、クリンチなりできれいにはずすことができたんで…。3、4ラウンドは距離が詰まっちゃいました」

 この日、本田は元フライ級ランカーのヘルソン・ゲレロ(メキシコ)を相手に4ラウンドのスパーを披露。パンチャー、ゲレロはまさに仮想ムニョスといった動きで対応した。

――ムニョスの印象を聞かせてください。

「パンチはやっぱりありますね。でも『あれが俺に当たるかなぁ』という感じはしますけどね(笑い)」

――穴を見つけたということ?

「パンチがあるということ自体がもう、何というかな、僕にはちょうどいい相手じゃないかな。チョコチョコ打って来られる方がニガ手なんで、ブルブルと振られてスイスイかわしてガンガン打てばいいような気がします。単純にそう考えています」

――ポンサックレック戦の反省点は?

「今回は作戦が違うんで…。ただ前回(ポンサックレック戦)はちょっと打ち急ぎがあって、アセリが出たとか、バランスがくずれてしまった。その出鼻にパンチを食っている。ポイント取らなきゃいけないと打ち急いでバラバラになってしまった。パンチもらって首を振ってはずすというパターンだったから。今回そういう打ちいそぎみたいなものはなくなって来ましたけど」

――勝敗のカギは?

「僕が(ムニョスの)パンチをもらわないことしかなんじゃないですか。それしかないでしょう」

――田中トレーナーからの指示は?HONDA TANAKASENDAI.JPG - 13,053BYTES

「指示というよりも、考え方がいっしょなんで『こんな方向で行こう』と作戦を煮詰めている段階です」(左写真:本田と田中繊大トレーナー)

――緊張感が伝わって来ますが…。

「適度な緊張感はありますけど、アガるとか固くなるということはないですね」

――ファンに試合の抱負を。

「強打が自慢のチャンピオンをいかに空振りされるかがテーマなんで、それをぜひ見に来てほしいですね。ファンが喜ぶ試合? どうなんですかね。案外いい試合ができるんじゃないですかね」

 どこまでも飄々と答える本田。ジムワーク中の表情に日々厳しさを増し、出番を待つ。ムニョスは24度目の犠牲者に本田を指名しているが、挑戦者は勝負師の顔をのぞかせ、どこまでも自己ペースをキープして言い切った。「過信だかなんだか知らないけれど、結局強い者が勝つということに違いはない世界ですから」

                                                    (インタビュアー:三浦 勝夫)
 

 BOX ON! 海外ニュース(9月16日)

「蹴りはなし」?
 タイソンがK−1に突きつけた条件
 経済的大ピンチからK−1の試合に出場をOKしたといわれるマイク・タイソンだが、スポーツ紙のバトル面の一時の派手な報道もややトーン・ダウンしているように見える。タイソンに長期間の服役歴があることから、日本入国が困難という記事もあり、これをフォローしてハワイでK−1のリングに上がるのではという報道もある。
 ひょっとして、タイソンはK−1の試合に出場しないかもしれないかもしれない−−というのは、こんなアングラ情報を耳にしたからだ。「タイソンはK−1の試合に出てもいいというが、ひとつ条件をつけている。それは、”蹴りは禁止”というもの」というのである。これが事実なら、厳密にはK−1ではなくボクシング・ルールに近い形の試合ということになる。タイソンも無謀なようでいてギリギリ自分の力を最大限生かせる方法を考えているのか。あるいはボクシング関係者の中にアドバイスをする人物がいるのかもしれない。米国でのPPV興行面でも困難が予想され「タイソンのキック参戦」はそれほどスムーズにはいかないとみられる。 
 タイソンは先ごろラスベガスのK−1の会場に現れPR役を務めたが(20万ドルあるいはそれ以上の高額の顔見せ料をもらったといわれる)、サップの試合を見て「これならおいしい」と、K−1出場にその気になったという話もある。今後サップが「蹴りはなし」の条件をのんでタイソンと戦うのか、あるいは「タイソンが無理難題を吹っかけて逃げた」ことになるのか、タイソン・ウォッチャーは今後の成り行きにご注目を!
 

 BOX ON! 海外ニュース(9月16日)

ジョーンズ−ターバー戦11月8日挙行
 去就が注目されていたWBA世界ヘビー級王者ロイ・ジョーンズ・ジュニア(米)が「個人的なシコリのため」を理由に再びL・ヘビー級にUターンしてWBA&IBF王者アントニオ・ターバー(米)と雌雄を決する決断を下した。試合は11月8日、米ラスベガスのマンダレイベイ・リゾートで行われる。
 JONES TARVER 030916.JPG - 20,927BYTES9月13日、記者発表の席でジョーンズ(写真右)は「さぁ、また頑張らなくちゃ。列に並んでいた連中の中からこの男と対戦することにした」とヘビー級進出後、自分自身の後継王者にすわったターバー(写真左)を相手として選択。彼がジョン・ルイスを下してヘビー級王座を奪った直後、「俺と絶対やってくれ」と会見の席上、じきじき対戦をアピールしたターバーの熱意に打たれ、彼のタイトルに“挑戦”する。念願かなったターバーは「最強ジョーンズを負かす機会が訪れた。自分の人生を賭けて戦う。これは金のための試合ではない。私は歴史をつくる」と宣言。
 その後ジョーンズがマイクの前に立つと、発表会はさながらジョーンズの独演会へとシフト。大げさなジェスチャーを交えながら延々としゃべりまくった。その後記者たちに囲まれたジョーンズは「もしも強行されたら、裁判に訴える」とWBAがヘビー級タイトルはく奪のモーションを見せていることに反発。もちろんヘビーに戻ってタイソンやレノックス・ルイスとのビッグファイトが実現することにも臭わせた。「マイクよ、何かにつけ私に敬意を表してくれることに感謝している。でもそろそろ動き出してもいいんじゃないか」(ジョーンズ)
 なお、当日はIBF世界J・ミドル級王者ロナルド・ライトの防衛戦も予定されている。試合はPPVによって全米に放映される。(三浦 勝夫) 

 BOX ON! 海外ニュース(9月14日)

モズリー、デラホーヤに連勝で新王者
 判定に不満の敗者は「調査依頼」
MOSLEY FACE.JPG - 6,976BYTES 13日ラスベガスMGMグランドガーデンで行われた統一S・ウェルター級戦は挑戦者シェーン・モズリーが王者オスカー・デラホーヤをジャッジ3氏がともに115−113をつける少差のユナニマス・デシジョンで、新王者となった。
 3年ぶりの再戦となったこのカードだったが、内容・結果は前回とほぼ同じで、モズリーのトリッキーな動きとハンドスピードがデラホーヤの丹念な攻防をわずかに上回った形だ。序盤から中盤にかけては、ペースとリズムの主導権争い。評価の難しい拮抗したラウンドが続いた。8Rあたりからペースをつかんだのはモズリー。やや動きの切れ味が鈍ったデラホーヤに、右のビッグパンチをヒット、さらにトリッキーな動きからプレッシャーをかけ続けた。ただ、一見優勢なモズリーは手数が意外に少なく、逆にリズムを崩されながらも手は出し続けたデラホーヤがパンチのヒット数では上回るラウンドが続く。「ここはラスベガス。オスカーのホームタウンのようなものだ」と父親でトレーナーのジャックにハッパをかけられたモズリーは、終盤の4ラウンズにスパート。とりわけ9回はモズリーのビッグラウンドで、右ストレート、左フック、ボディブローがいずれもデラホーヤに大きなダメージを与え、王者の動きを止めた。結局、この終盤のポイントがものをいって、(スコアカードの上では)逆転の判定勝ちとなった。
 しかし、デラホーヤ陣営は、この判定に納得していない。「判定には疑問を感じている。正しく判定が行われたかどうか、探偵社に調査をいらいするつもりだ」(デラホーヤ)。具体的にどのような「調査」をいらいするのかは不明だが、ネバダ州コミッション等の管轄団体にも判定を「不当」とするアピールをしていくことになりそうだ。
 テレビ放映したHBOのカウントによれば、試合を通してのパンチのヒット数はデラホーヤ221に対しモズリー127と圧倒的。「強くヒットしたパンチ」数でも 115 対 94、 ジャブのヒット数にいたっては 106-33 というから、一応デラホーヤの「不服」にも根拠があるということか。米国内向けテレビ放映の解説席では、コメンテーターのジョージ・フォアマンが「デラホーヤの明白な勝ちだ」と言い切っていたのも、世論京成の点ではデラホーヤには追い風だ。しかし、「カウント数」はあくまでも試合を通じてのもので、最後の3〜4ラウンズでモズリーが優勢だったのは明らかだろう。


ジョンストン、初のTKO敗
ライト級挑戦者決定戦、ラスカノが殊勲

 モズリー−デラホーヤ戦の前座カードでは2つの「挑戦者決定戦」が行われ、世界のトップランカー同士が激突し好試合を展開したWBCライト級は1位フアン・ラスカーニョが2位スティーブ・ジョンストン(いずれも米国)とダウン応酬の好試合を展開した末、11回に右カウンターで元王者を倒し、世界の切符を手に入れた。ベテラン、ジョンストン(坂本博之に判定勝ち)もラスカーニョに力づくでねじ伏せられ、初の惨敗を喫した。
 セミのWBA・S・ライト級は、プエルトリコのスーパースター候補、ミゲール・コットが13位のデメトリオ・セバロス(パナマ)に7回2分28秒TKO勝ち。セベロスも善戦したが,コットはあぶなげなく試合を進めた。7回に連打したところでセベロス側のセコンドがリングに駆け上がり、棄権の意志表示。シドニー五輪代表からプロ転向したコットはこれで17勝14KO負け知らず。

 BOX ON! 海外ニュース(9月12日)

明日デラホーヤ−モズリー戦
予想は5−2でオスカー
 3年前のリベンジなるか−−WBA&WBC世界S・ウェルター級王者オスカー・デラホーヤ対元世界ライト、ウェルター級王者シェーン・モズリー(ともに米DELAHOYA MOSLEY WEIGH IN 030912.JPG - 28,959BYTES国)のタイトル戦が本日13日(日本時間14日)ラスベガスのMGMグランド・ガーデンでゴングを聞く。
 12日午後、試合会場で行われた公式計量では、両者とも154ポンドのリミット一杯でパスした。一般公開されたため会場には大勢のファンが詰めかけ、デラホーヤに大声援を送るとともに、モズリーにはブーイングを浴びせた。
 9月のラスベガスはメキシコ人が主役。15日の独立記念日にあわせて毎年ビッグ興行が用意されるが、今年は改めてデラホーヤの異常人気をまざまざと見せつけられた。1万6千のチケットはすでに完売となり、1200ドルのリングサイド券がプレミアがついて1万5千ドルでやり取りされていると聞く。MGMグランドの客室にはダフ屋が配布した「チケット買います」のチラシが投げ込まれている。市内2万席分のクローズド・サーキット(劇場テレビ中継)のチケットさえ手に入りにくい。“二番煎じ”の売り上げ1100万ドルというラスベガスのボクシング史上でも6位という大規模興行になったのも、デラホーヤ人気のおかげだ。
 フォレストに連敗して一時の勢いを失ったモズリーに対し、逆に再び勢いを取り戻したデラホーヤ。両者の勢いの差がそのまま掛け率にもあらわれ、「5−2」でオスカーの勝ちに傾いている。しかし、3年前に2−1判定で勝っただけでなく、アマチュア時代にもデラホーヤに白星を飾っているモズリーは、相性からいってもオスカーの「天敵」。二度あることは三度ある−ー? 
 


稲田不敗の13連勝
 12日ラスベガスのホテル「オリーンズ」で行われたライト級10回戦で日本同級1位稲田千賢(帝拳)は、サンドロ・マルコス(メキシコ)に2回鮮やかな右アッパーを決めて2分59秒KO勝ち。これでアマからプロ転向以来不敗の14連勝10KOをマークした。
 相手はマサトランからやってきたマルコスで、これまで22勝18KO11敗2分と強打と打たれモロさを併せ持つ右ファイター。しかし稲田は初回から相手の強打に空を切らせながらジャブをタイミングよく決めてペースを奪う。2回に攻勢に出て左フックを一発受ける場面もあったが、かまわず打って出る。終盤に右アッパーから左フックと繰り出すと、マルコスはたまらず崩れ落ち、10カウント後もしばらく立てないほどダメージを負っていた。
「(フィニッシュの)右アッパーは手ごたえがありました。今日は7,80点の出来」と稲田。5度目の米国の試合で初体験の10回戦にも「最初からリラックスしていたし、10回やるつもりはありませんでした」とケロリ。
 本田会長も「一発食ったけど、これま一番いい試合だった」と来年のチャンピオンカーニバルで日本王者島田雄大への挑戦を予定している。

 

 BOX ON! 海外ニュース(9月8日)

三太快勝、TKOで再起戦飾る
TOKYO SANTA POSE.JPG - 10,059BYTES 元WBC世界ライト級王者で東京三太のリングネームで日本でもファイトしたミゲール・アンヘル・ゴンサレス(メキシコ)が9月6日、メキシコシティのリングに登場。同国のクリスティアン・ソラノから3度ダウンを奪って5回1分45秒TKO勝ちを収めた。
 これが2年半ぶりの公式試合となるゴンサレスは151 ポンドとS・ウェルター級のウェイト。体重と32歳になった年齢から以前のスピードはないが、185センチの長身選手ソラノに攻勢をかけ、2回に倒したあと、3回にも左フックでダウンを追加する。5回、脇腹打ちで再びダウンを奪ったゴンサレスに対し、ソラノは続行に応じたものの、追撃打に捕まってストップされた。これで47勝37KO3敗1分のゴンサレスは、今後ウェルター級で戦うことを明かしている。ソラノは17勝14KO4敗1分。
(ゴンサレスは2002年5月、エンセナーダでロベルト・ロペスという選手にKO勝ちしたことになっていたが、その後エキジビション扱いに変更されたようです)


 
カルデロン初防衛
CALDERON, IVAN.0306PR. 2.JPG - 6,585BYTES シドニー五輪代表からプロ入りし、パワーレスながら5月にWBO世界ミニフライ級王者に就いたイバン・カルデロン(プエルトリコ)が9月5日、地元プエルトリコのカグアスに凱旋。メキシコ同級王者のロレンソ・トレホを大差の判定で下し、初防衛戦に成功した。
 試合は6回にカルデロンが右でトレホにダメージを与えた以外、それほどヤマがなかったが、王者がスピードに乗ったフットワークとパンチでポイントをコレクト。スコアは119-109、119-112、117-111 とカルデロンを支持。これでカルデロンは17勝3KO無敗。トレホは15勝6KO12敗。
チャベス−スイコ戦実現?
 シリモンコン・シンワンチャーを地元で攻略した新WBC世界S・フェザー級王者ヘスス・チャベス(メキシコ)は、10月4日に行われるエリク・モラレス−グティ・エスパダス戦の勝者との対決が確約されているが、その前に地元オースチンで、他の相手との初防衛戦をはさむことを思案中。チャベス陣営のルゥ・メソラーナ・マネジャーの語るところによると、WBC2位でOPBF王者のランディ・スイコ(比国)が相手として最有力候補だという。期日は10月中で、対立候補者として引退勧告を無視してリングに上がり続ける元王者ホルヘ・パエスの名前も聞かれる。スイコ戦が決定すれば、シリモンコンに続いてアジア人連覇がかかる。

                                                                (三浦 勝夫)

 BOX ON! 海外ニュース(9月5日)

元王者ブラッドリーがカムバック
 BRADLEY_LONNIE.JPG - 5,784BYTES元WBO世界ミドル級王者ロニー・ブラッドリー(米)が約6年のブランクを経てリングに復帰することになった。ブラッドリー(33歳)は、1995年5月の戴冠以来、同タイトルを6度も防衛していたが、97年に網膜剥離が発覚し、王座を返上、引退状態だった。戦績も29勝21KO1分と、まだ無敗をキープ。眼疾が癒え、何度かカムバックの噂があってが実現には至らなかった。しかし、この程シュガー・レイ・レナード・プロモーションの下、リングに立つことが決定。9月5日、ラスベガスのスターダスト・ホテルでニコラス・セルベラ(コロンビア=シドニー五輪代表のジャーマイン・テイラーにKO負け)と戦う。現役時代、同じように眼病をかかえてリングに上がったレナードのプロモートというものも何かの因縁かもしれない。

 BOX ON! 海外ニュース(9月5日)

イシマル、大竹とも敗れる
インドネシアの試合結果
ISHIMARU,ALBARADO.030904.JPG - 5,029BYTES インドネシアからの情報によると、2日ジャカルタで行なわれたS・ライト級10回戦に出場したアルバラード・イシマル(北陸石丸:右写真)は、同国の元PABA王者ウィルペア・ジャムールと対戦したが、判定で敗れた。攻勢点をとられて3−0判定で敗れた。
 イシマル(34歳)は北陸石丸ジム所属のインドネシア人ボクサー。マイナー団体(WBF)で世界王座についたこともあるベテランだが、日本では昨年7月に湯場忠志の日本タイトルに挑戦して9回TKO負けしたのを最後に試合をしていない。北陸石丸ジムでは、事前にイシマルから試合出場を聞かされておらず、コミッションにも届けていない。
 なおこの試合の前座ではオオタケ・エイジュという名の日本選手が出場しているが、エルビン・マルブン(インドネシア)に6ラウンドTKOで敗れている。オオタケは、元グリーンツダジム所属で日本タイトルに挑戦歴もある「大竹永寿」とみられる。
 

 BOX ON! 海外ニュース(9月4日)

元ラガーメン、ムンディン念願の王座に
WBA世界S・ミドル級王座決定戦、2−1判定勝ち
  ラグビーのスターから世界チャンピオンへ−−MUNDINE,ANTHONY.030904.JPG - 16,340BYTES3日シドニーで行われたWBA世界S・ミドル級王座決定戦は、地元期待の2位アンソニー・ムンディン(豪州)が、1位のアントゥン・エコルス(米)に12回判定勝ちを飾り、新チャンピオンとなった。スコアは、タイと韓国のジャッジが117−112でムンディンの勝ち、残るフィンランドは115−114でエコルズ優勢とするスプリット・デシジョンだった。このタイトルは、スベン・オットケ(ドイツ)が統一王者となり「スーパー・チャンピオン」に昇格したため、空位になっていたもの。
  ムンディンは元ラグビーのスター選手で、父トニー・ムンディンは世界ミドル級王座に挑んだこともある名選手だった。

 BOX ON! ニュース(9月2日)

早い、97秒!
クリチコ弟再起戦KO勝ち
KLITSCHKO,WLA.FACE.030901.JPG - 11,352BYTES 3月にコーリー・サンダースに番狂わせのKO負けを喫してWBO世界ヘビー級王座から転落したウラジミール・クリチコ(ウクライナ)が復帰戦で楽勝。31日ドイツのミュンヘンで行なわれた空位のWBAヘビー級インター王座決定戦で、ファビオ・モーリ(アルゼンチン)を初回左ストレートで倒しストップ勝ちした。KOタイムは1分37秒だった。 ドイツを主戦場とする身長2メートルの巨人ボクサー。無冠となって初の試合にもかかわらずこの日は1万1500人の観客が詰め掛けるなど、クリチコの人気は衰えていない。しかしファンは、左一本で簡単に料理されてしまったあまりにもふがいない相手に対しては大きなブーイングを浴びせていた。
 クリチコ本人も再起戦の勝利を喜びながらも「もっと長く戦いたかった」と物足りなさそうだった。それでも復調に自信のクリチコは「次はサンダースにリベンジしたい」と、再戦で名誉回復を求めている。これで元チャンピオンは41勝38KO2敗。

 BOX ON! 海外ニュース(9月1日)

ネルソン、ゴンサレスら殿堂入り
ロスの世界ボクシング殿堂
NELSON,AZUMAH.030901.JPG - 15,078BYTES 世界ボクシング殿堂は今年新たに殿堂入りが決まった8人の元チャンピオンらを発表している。アズマー・ネルソン、チキータ・ゴンサレスら最近の王者の他、ガッツ石松に世界王座を追われたロドルフォ・ゴンサレスも選ばれている。新たなホール・オブ・フェイマーは次の通り−−。
・アズマー・ネルソン(元WBC世界フェザー、J・ライト級王者。アフリカ・ガーナの生んだ名選手:右写真)
・ウンベルト”チキータ”ゴンサレス(WBC世界L・フライ級王座を3度獲得したメキシコ軽量級の名王者:左下写真)
GONZALEZ,CHIQUITA.030901.JPG - 17,532BYTESロドルフォ”エル・ガトー”ゴンサレス(元WBC世界ライト級王者。ガッツ石松に2度敗れ王座を手離した)
・ジョーイ・ギャンブラ(J・ミドル級のトップ選手として活躍。63年の初代世界王座決定戦でデニー・モイヤーに敗れ無冠に)
・デル・フラナガン(1947年から64年にかけて活躍したミドル級選手。世界挑戦の機会はなかったが、106勝の中にはギャビラン、サクストンら世界王者経験者多数)
・ベニー・ジョージノ(プロモーター、トレーナー、マネジャー)
・リカルド・マルドナド(メキシコのマネジャー、マルコ・アントニオ・バレラやレネ・アレドンドらを手がける)
・マイケル・キャッツ(ボクシング・ジャーナリズムのドン)
 最後に挙げた3人の関係者・記者はいずれも現役である。世界規模のボクシング殿堂は、近年はニューヨークの「国際殿堂博物館」が有名だが、こちらの「世界ボクシング殿堂」の方が歴史は古い。ニューヨークと比較して、世界チャンピオン経験者以外からも多くを選んでいるのが特徴だ。以前はロサンゼルス空港近くのマリオット・ホテルで毎年パーティーを開いてセレモニーを行ってきたが、昨年からロス近郊のコマース・カジノにあるクラウン・プラザ・ホテルに会場を移している。今年は10月18日に新規殿堂入りした人たちを招き、同地でパーティを催す。一般ファンも有料で参加することができる。
 

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