キャッチ三浦の

アメリカン・シーン

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三浦  勝夫
(ワールド・ボクシング米国通信員)
息子達と

  オリンピック予選の取材から…

 先週、1週間に渡ってアテネ五輪アメリカ大陸予選がメキシコのティファナで開催された。以前ティファナは中南米諸国の予選を開いたことがあるが、今回はアメリカ、カナダを含めた28ヵ国、150人のボクサーたちが11階級、20の五輪代表権を争う、イベントとしてもかなり注目度の高い大会であった。会場の「アウディトリオ・ムニシパル」(柴田国明−サルディバル戦が行われた場所)には地元メキシコのファンはもちろん、ボーダーを越えて応援にかけつけたアメリカ人サポーターも陣取り、メヒココールとUSAコールが交錯するプロ試合さながらの盛り上がりを見せた。

 地域の強豪国で世界的にもトップクラスのキューバからは3選手のみの参加だった。これはこの大会前、昨年ドミニカ共和国で行われたパンアメリカン大会の優勝者に代表権が与えられていたためで、同大会銀メダルのルイス・フランコ(57キロ級)とミチェル・ロペス(スーパーヘビー級)はきっちり1位でアテネへの切符を手にした。フランコは決勝でカルロス・ベラスケス(プエルトリコ)に30−8の大差でポイント勝ち。一方、パンアメリカン大会でジェイソン・モーゼス(米)に敗れたロペスはアメリカ育ちのジョージ・ガルシア(メキシコ)を28−8のスコアで下した。11階級すべて出場をめざすキューバは、これで10階級で代表選手が決まった。

 対するアメリカも48キロ級のローシー・ウォーレン、51キロ級のロン・シーラー、60キロのビセンテ・エスコベド、69キロ級のバネス・マストロシャン、75キロ級のアンドレ・ディーレル、そして91キロ級のデビン・バルガスの6人が優勝。81キロ級のアンドレ・ウォードは準優勝に終わったが、決勝は不戦敗で7人がアテネ行きを確実にした。彼らの中から未来のデラホーヤやメイウェザーといったスターが誕生する――と想像するとこの大会を観戦した価値が後から出てくる気がしてくる。

 他の優勝者は54キロ級のアンドリュー・クーナー(カナダ)、64キロ級のフアン・デディオス・ナバーロ(メキシコ)、81キロ級のエドガル・ムニョス(ベネズエラ)と1国ずつ3人。アマチュアボクシング、しかも最高峰に通じるオリンピック予選といえば、何か“点取りゲーム”みたいな試合を思い浮かべていた。確かに“打たせずにタッチする”うまさを発揮する選手もいたが、今後ヘッドギアをはずしてファンを魅了するプロ向きの選手も同時に目立ったのも事実。彼らはまず“商品価値”を高めたというべきか。

 試合運営、演出面でも品行方正な?日本の大会とは一線を画するような気がした。選手のリング登場にはハイボリュームのミュージックが流れ、ラウンド間のインターバルにはビキニ姿のラウンドガールがファンの目を楽しませる。メダル贈呈、国家吹奏などのセレモニーにも彼女たちはエスコート。テレビカメラがコーナーポストに陣取り、地元メキシコ選手の試合ではその数が何人にも達するほどだった。

 オリンピックの人気が衰えないのは、国同士の誇りを懸けた純粋な戦いに人々が魅了されるからにほかならない。そしてトーナメント、一発勝負のおもしろさが加味される。アマが試合進行でプロを手本にしている現状を目のあたりにすると、今度はプロもピュアなアマチュア大会をヒントにファンを獲得できないかと思ってしまう。何もプロボクサーをオリンピックへ出せと言っているのではない。(アメリカのトップ選手の何人かは五輪に出たいと発言しているらしいが…)

 以前、アメリカのケーブル局ESPNが主催し、優勝者の一人にアセリーノ・フレイタスが輝いた「ボクシノ・トーナメント」みたいな、国別対抗戦を再開できないものかとプロモーターたちに提案したい。日本にもA級、B級トーナメント、そして今年はA級選手の4回戦トーナメントが開催されるらしいが、クラス限定にせよ、プロでもアメリカ対メキシコとか、対プエルトリコとかのファイトが見られれば、絶対にファンの心を熱く燃えさせるはずだ。何もビッグマッチだけがボクシングではないと思う。

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