辰吉、辛くも生き残った アビラに大苦戦の判定勝ち 元WBC世界バンタム級王者辰吉丈一郎は26日大阪市中央体育館で行なった「世界前哨戦」でWBC19位のフリオ・セサール・アビラ(メキシコ)に僅差判定勝ちを飾った。 世界戦までの最後のハードルとして設定されたこの試合、辰吉は3回まで自分のペースで試合を運んだが、その後体が思うように動かず、しつように手を出してくるメキシカンのインファイトに巻き込まれ苦戦。8回にはアビラの右クロスからの攻撃に動きが止まり、ダウン寸前のピンチ。6月に左足をけがしてロードワークが出来ずに試合に臨んだというツケが回り、その後も苦しいラウンドが続いた。結局辰吉本来の見せ場がないまま試合終了。 スコアは上中、宮崎、安田の3ジャッジとも95−93で辰吉の勝ちとしたが、原田レフェリーが5、9回の2度アビラに対しグローブを握らずに打ったとして反則減点をとり、辰吉には幸運の判定勝ちとなった。しかしアビラは「レフェリーが辰吉を勝たした」と納得していない。 一方辰吉本人は「クソ面白くない試合をして僕自身悔しい。判定まで行ったこと自体が僕の負け。でも生き残れてよかった。必ずWBCのベルトを獲ります」と満員のファンに訴えた。吉井寛・大阪帝拳ジム会長は今後について「しばらく休養してから、話し合いたい」として、結論を出さなかった。
世界5位大東、石田に完敗 辰吉戦の前座で新旧交代−− 関西重量級の新旧交代劇−−26日大阪市中央体育館の辰吉−アビラ戦と同じリングで行われたS・ウェルター級の注目カードで、WBC世界5位の大東旭(大鵬)は、元東洋太平洋同級王者(現日本1位)石田順裕(金沢)に大差判定負けを喫した。 立ち上がり、これが49戦目の大東(33歳)はいつになく果敢に攻めて出たが、石田(28歳)の正確な左フック、右ストレートで迎え撃ちされ、苦しい展開となった。その後も同じペースで進み、終盤大東もボディー攻撃で最後まで石田を崩せなかった。 石田もタフな大東を倒すまでには至らなかったが、自身のキャリアでも特に印象的な勝利を飾った。スコアは99−91(宮崎)、96−94(安田)、97−94(原田)と3−0だったが、2、3点の小差はない。 大東は96年以来の連勝記録を「22」でストップされ、進退問題も浮上したが、これについては言及せず。石田は10勝4KO4敗1分。
山本はサンティリャン攻略に失敗 同じくセミのウェルター級10回戦では山本大五郎(金沢)が元東洋太平洋同級王者で現WBC17位のレブ・サンティリャン(比)に挑戦したが、8回につかまり1分54秒TKO負けを喫した。前に出てくるサウスポーのサンティリャンに対し、6勝全KO(1敗1分)の強打者山本は得意の右ストレートを迎え撃ちして対抗。ポイントの上では優勢に進めていたが、サンティリャンの老獪で執拗なボディー攻めにジワジワと力をそぎ落され、8回に耐え切れずダウン(主審はスリップと判定)。立ち上がったものの追撃されグロッギーになったところでレフェリー・ストップがかかった。世界ランク入りを阻止される惨敗に山本は試合後通路で号泣。
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