ショーセイの新米ジム会長奮戦記

新田 渉世 
(元東洋太平洋バンタム級王者)


 ミット打ち

 プロ選手が生まれ、練習生の人数も増えてきて、新田ジムもだんだん一人前のジムっぽくなってきた。オープン当初は「ひとりでも多くの練習生が入会するように」ということだけを考えてやってきたが、実際に人数が多くなってくると新たにいろいろな問題が生じてくる。
その中のひとつに「指導の充実度」の問題がある。新田ジムでは、基本的にその日ジムに来た練習生全員に対して最低2ラウンドのミット指導をおこなっている。「全員ミットを持つ」―あまりそういうジムはないようだが、選手やその予備軍だけではなく、体力づくりやダイエット目的の人にも、「このジムに来て良かった」と感じてもらいたい。そう考えてこの方針を貫いている。
しかし、人数が少ないうちは「全員ミットを持つ」指導も何とかこなせていたが、1日50人位の練習生がやってくるようになると、結構厳しくなってくる。特に人数が集中し、スパーリング等の選手指導が重なる時間帯は、どうしても物理的に手が回らなくなる。私は外出する機会が増え、練習生指導は孫トレーナーがメインとなっておこなっているが、いくら彼が驚異的な体力を持っていても腕は2本しかない。2時間ぶっ続けでミットを持っても、1人2ラウンド(8分)×15人がいいところである。こなすだけこなしたとしても、選手指導は手薄となる。夜9時を過ぎると週2〜3回、もうひとりのトレーナーである坂本氏が手伝いに来てくれるが、やはり一番忙しい夜6時から9時位の間が問題だった。
そんなある日、ジムのホームページに匿名でひとりの練習生から相談が書き込まれてきた。「ボクシングが大好きなのだが、生まれ持った持病の為に医者から激しい運動を止められてしまった。それでも何かの形で一生ボクシングと関わっていきたい。何か良い方法はないでしょうか」という内容だった。ひとまず私は“日本ボクシングコミッション”でレフェリー、ジャッジを務める道、マスコミで報道に携わる道、トレーナーとして選手を育成してゆく道・・・等を提案した。―なんて言いつつもお察しの通り、トレーナー志望であることに淡い期待を抱いていた。
すぐにまた書き込みがあり、「トレーナーの勉強をしたい」との返事だった。「よしっ」私はA大学3年生の松ア徳之と早速面会し、いろいろと相談をした。
やはり本当は「選手として頑張りたかった」ということだが、体がそれを許さない以上、選手により近い存在である“トレーナー”になることが、ボクシング大好き人間である松アの望みだった。将来も新田ジムでトレーナーを続けてゆく為に、残業の少ない公務員を目指したいと言うから、こちらとしては願ってもない人材だった。もちろん、まだまだ試用期間だが、「全員ミットを持つ」新田ジムの方針を続ける上では既に大活躍してくれている。ただ医者から激しい運動を止められてしまった割には、汗だくになって動き回っているのが少し心配なのだが・・・。

 新田ジム 最新情報

・ 新田ジムでは6/5(土)PM5:30より、中高生練習生の「保護者参観」をおこなうことになりました。保護者の方々のご理解とご協力を得る目的で開催します。
・ 高校1年生の清水開が、神奈川県インターハイ予選に参加することになりました。

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新田渉世(にった・しょうせい) 
87年、横浜国大2年の時にプロデビュー。96年10月にOPBFバンタム級王座を獲得し、「国立大卒初の王者」としても話題となった。
34戦23勝(17KO)9敗2分

新田ボクシングジム   
神奈川県川崎市多摩区登戸2832 小田急線向ケ丘遊園駅徒歩5分
TEL 044-932-4639
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