ショーセイの新米ジム会長奮戦記

新田 渉世　
(元東洋太平洋バンタム級王者)

　パンフレット作成

　プロボクシングの興行では、会場で試合の組合せなどが書かれたパンフレットを手にするはずだ。世界戦などの大きな興行では、豪華なものが有料で販売されるが、後楽園ホールなどでおこなわれる一般の興行では、少し質素な感じのものが無料で配布される。新田ジム初のプロ選手3名―フランシス、西、竹内のデビュー戦で共同プロモートに初めて参画した時、この"パンフレット作成"にも携わらなくてはならなかった。前述した"マッチメーク"に続き、初めてづくしの共同プロモートに、新米会長の笑顔は少々引きつった。
　ボクシングの興行におけるパンフレットの役割は、大きく分けて2つある。ひとつは、観客にイベントの概要を知ってもらうことだ。その日おこなわれるカードの組合せが記載され、表紙はポスターと同様の宣伝効果を果たし、出場選手やジムのPR、主催者（プロモーター）や後援者のあいさつ文などが盛り込まれる。そしてもうひとつは、"資金調達の手段"という役割だ。パンフレットに見られる様々な広告は、掲載料を"頂いて"載せている。"頂いて"と表現したのは、後楽園ホールなどでおこなわれる程度の一般興行では、需要と供給の理論が成立していないからだ。普通、雑誌や新聞等に掲載されている広告というのは、それによって広告主に何かしらの利益をもたらす。その利益を得る目的で広告主は掲載料を支払う。しかし、この程度の興行パンフレットに広告掲載することによって、企業や事業主が期待できる宣伝効果はほとんどないと言っていいだろう。にもかかわらず、料金を支払って広告掲載をするのはなぜだろう。―それらは"料金"ではなく"寄付"なのだ。"お祝儀"や"協賛金"といった意味合いの、プロモーターや選手に対する"応援寄付金"なのである。
　共同プロモート興行の場合、負担する資金額（通常、参加ラウンド数×2〜2.5万円）に応じて、パンフレットで使用できる広告スペースが分配される。この記念すべき初プロモートで、新米会長に与えられた広告スペースは、B5版パンフレットの1.5ページ分だった。
　さて・・・、読者の方々ならどうするだろうか。親しい会社経営者や事業主を訪ねて、「実はボクシング興行の一端を担うことになりまして、資金が必要なのでパンフレットに広告を載せていただけませんでしょうか」そう言って頭を下げて回るしかないだろう。この不況期、相手に何の利益も期待出来ない交渉である。言葉を変えれば「応援寄付金を下さい」という"お願い"である。それは一般の営業経験もない私にとって、とても高いハードルだった。
　慎重な人選と、決死の覚悟で話を持ちかけた5人の広告主―いやいや後援者の方々は、少し戸惑いながらも快く依頼に応じてくれた。記念すべき初プロモートということも、快諾の要素となったのかもしれない。
　相手にとっても初めてのことである。広告の内容を打ち合わせし、印刷屋へ入稿するまでの諸々の雑務は全て自らこなした。もともと太い方ではない神経をすりへらしながら、かろうじて、またひとつハードルをクリアすることが出来た・・・と思う。

新田ジム　最新情報

・ 3/30（月）に後楽園ホールで行われた「第61回東日本新人王予選」に
　出場した3選手は、残念ながら駒を進めることが出来ませんでした。
　　　Sフェザー級　 ハンマー浜里　4R判定負け　　北原宏和（金子）
　　　フェザー級　　志賀悠　　　　　1ＲTKO負け　  荒井隆行（帝拳）
　　　フライ級　　　 佐藤祐樹　　　 4R判定負け　　殿村雅史（F.I）

・ 4/26（月）に後楽園ホールで行われる「トクホンVダッシュ第57弾」に
　出場する笈川慎也の対戦相手が、決定しました。
　　　ウェルター級　笈川慎也　4R　高橋マサル（花形）


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