ショーセイの新米ジム会長奮戦記

新田 渉世 
(元東洋太平洋バンタム級王者)


計算どおりには行かないが……

 どうにか迎えることが出来たオープンパーティ当日―。素人ばかりの手作りの会に150名近くの人が集まってくれた。会場の準備、司会者の依頼交渉、招待客の選出、その他諸々の問題を何とか乗り切ってきただけに、感慨はひとしおだった。
 特別アトラクションのコウジ有澤と大嶋宏成のスパーリングでは、大嶋選手の時間ギリギリの登場に冷や汗がタラリ・・・。しかし、さすがに間近で見る迫力スパーリングに招待客は満足した様子で、ジムお披露目式は何とか無事終了。一行はパーティ会場となるジム向かいのイタリアレストランへと移動した。
 パーティで初めにマイクを手にしたのは、私が現役時代に所属していた金子ジムの金子繁治会長(現名誉会長)だった。全体の進行上、5分位のスピーチにまとめて欲しかった為、事前に金子ジムに出向いて依頼した際、「会長、スピーチはホント短くて結構ですから。一言頂ければ結構ですから・・・」と失礼なお願いの仕方をしていた。
  t当日マイクを手にした金子会長は「新田は短くしゃべってくれと言いましたが、そうはいきません」と話を始めた。(しまった―)気を悪くしていたのか、いや単なる冗談なのか、話の内容もいきなり「新田は我々にとても迷惑をかけた選手でした―」で始まった。そうなのである。私は結構問題児だったのである。ボクシングに真剣に取り組んでいた為、自分の考えが強く、会長の言うことを聞かなかったり、時々ぶつかったりと、ジムとしては非常に扱いにくい選手だったのだ。おまけに体が弱く、すぐに熱が出て体調を崩す為、大事な試合ではいつも期待を裏切ってきた。自分がジム会長となり、多少その苦労が分かってきたつもりだが、なにもこの場でそんな話をしなくても・・・と、また冷や汗がタラリ。しかし、そのスピーチに会場は大いに盛り上がった上、話も5分で終了。金子会長は見事にオープニングを飾ってくれた。
  このパーティは立食として開催したつもりだったが、椅子があれば座るのが人間の性というもので、150名近くの招待客は皆テーブルについてしまった。なかなか段取り通りにはいかないものだ。来賓あいさつでも、招待客は食べるのと話すのに夢中で話をほとんど聞かない。スピーチして下さった方々には失礼なことをしてしまった。
また、某Pジム会長婦人については、招待していたにもかかわらず、記帳リストに名前を書き忘れるという失礼をしてしまった。
 失敗ばかりのオープンパーティだったが、何とか無事に?終えることができた。アクションプランのうちの2項目「会員確保」「業界参入」にも少しは役立ったのではないかと思っている。しかし、そんなことよりも心に刻まれた新田ジムの1ページとして、満足のいくパーティであった。

新田ジム 最新情報
  10月1日(水)後楽園ホールにてプロ選手3名のデビュー戦がおこなわれた。
石井フランシス 1R KO負け 
竹内俊介    4R TKO勝ち
西 禄朋    4R 判定勝ち 
結果は上記の通り。ジムとしては、まずまずのスタートが切れたが、石井フランシスのKO負けは残念だった。

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新田渉世(にった・しょうせい) 
87年、横浜国大2年の時にプロデビュー。96年10月にOPBFバンタム級王座を獲得し、「国立大卒初の王者」としても話題となった。
34戦23勝(17KO)9敗(3KO)2分

新田ボクシングジム   
神奈川県川崎市多摩区登戸2832 小田急線向ケ丘遊園駅徒歩5分
TEL 044-932-4639
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